パーキンソン病患者の在宅生活継続に向けた取り組みってなんだろう?【HY分類Ⅲ】

パーキンソン病患者の在宅生活継続に向けた取り組みってなんだろう?【HY分類Ⅲ】

はじめに

パーキンソン病が進行すると、歩行やバランスの問題が顕著になり、転倒のリスクが高まります。特にHY分類Ⅲの段階では、歩行時のふらつきやすくみ足(足が前に出にくくなる症状)が目立ち、転倒による骨折やケガの危険性が増します。実際、HY分類ⅢやⅣの患者さんのうち30%以上が骨折を経験していると言われています。

また、転倒によって「また転ぶかもしれない」という恐怖心が生まれると、外出を避けたり、活動が減ったりしてしまいます。その結果、筋力低下が進み、さらに転倒しやすくなるという悪循環に陥ることも。

しかし、多くの方が「できるだけ長く住み慣れた自宅で過ごしたい」と願っています。そのためには、日常生活での工夫やリハビリの継続がとても大切です。本記事では、HY分類Ⅲのパーキンソン病患者さんが安全に在宅生活を続けるためのポイントを分かりやすくご紹介します。


HY分類Ⅲとは?

この段階では、以下のような症状が目立ってきます。

歩行時のバランスが不安定になる

• **筋肉が固くなる(筋強剛)**ため、スムーズに動きにくい

すくみ足や突進現象(前に進もうとすると止まれない)などの歩行障害

姿勢反射障害(バランスを崩したときに元に戻る反応が遅れる)

そのため、転倒しやすくなり、自立した歩行が難しくなることもあります。ただし、まだ介助なしで歩くことは可能な状態なので、適切な対策を取ることで安全に在宅生活を続けることができます。



転倒予防のためのポイント

① 歩行を安定させるための工夫

自分に合った歩行補助具を選ぶことが大切です。
ウォーカーや歩行車の利用
抑速ブレーキ付き前腕支持型歩行車がおすすめ
• 前のめりになりすぎるのを防ぎ、安定した歩行をサポート


抑制ブレーキ付き前腕支持型歩行車

理学療法士と相談しながら選ぶ

• 無理に使うと逆にバランスを崩すこともあるので、実際に試しながら選ぶ

歩行補助具を使うと「外出しにくくなるのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、転倒を防ぐためには安全な移動手段を確保することが最優先です。

また、リハビリの継続が難しくなった場合は、送迎サービス付きのリハビリ施設を活用することも検討しましょう。


② 生活環境の整備(転倒しにくい部屋作り)

パーキンソン病では、症状が「良い時間(ON)」と「悪い時間(OFF)」があるため、特にOFFのときの移動を想定して対策を考えることが重要です。

手すりの設置

• 廊下、トイレ、寝室、居間など、移動が多い場所に設置

• 家具(タンスやテーブル)を手すり代わりにすることも可能

夜間の転倒対策

人感センサー付きの足元ライトを設置

リモコン付き照明延長した電気紐を活用

段差の解消

• パーキンソン病では小さな段差でもつまずきやすいため、スロープやカーペットで段差をなくす

入浴時の工夫

シャワーチェアバスボードを利用

• 介護保険を活用して福祉用具のレンタルや購入を検討


③ 自宅でできる簡単な運動(ホームエクササイズ)

転倒を防ぐためには、適度な運動も重要です。ただし、HY分類Ⅲの段階では、運動に対する意欲が低下しやすいので、簡単で安全にできる運動を取り入れましょう。

椅子に座ってできる運動(バランスが崩れにくい)

• つま先・かかとの上げ下げ

• 足踏み運動

• 腕を大きく振る運動

壁や手すりを使った運動

• 壁を押しながらスクワット(軽くしゃがむ程度)

• 手すりにつかまりながらのかかと上げ

ポイント

毎日少しずつ継続する

無理をしない(疲れたらすぐ休む)

できれば家族と一緒に行う(励まし合うことで継続しやすい)

理学療法士と相談しながら、その人に合った運動プログラムを作成することが理想です。


おわりに

HY分類Ⅲのパーキンソン病患者さんが在宅生活を続けるためには、転倒予防のための工夫や、環境整備、適度な運動が大切です。

また、病状の変化に気づくために、家族や医療スタッフと定期的に情報を共有することも重要です。特に**「ON-OFF」**の状態を把握することで、より適切な対応ができるようになります。

最近では、訪問リハビリの機会が減るなどの問題もありますが、受診やリハビリの際には、遠慮せず現在の状況を相談しましょう。ちょっとした工夫で、より安全で快適な在宅生活を送ることができます。

パーキンソン病と向き合いながら、「できることを増やす」ための取り組みを一緒に考えていきましょう!