パーキンソン病患者の在宅生活継続に向けた取り組みってなんだろう?【HY分類Ⅴ】
はじめに
パーキンソン病が進行すると、運動症状(すくみ足や前傾姿勢)に加えて、睡眠障害や認知機能の低下などの非運動症状が現れ、転倒のリスクが高まります。特にHoehn & Yahr(HY)分類Ⅲ・Ⅳの段階では、30%以上の方が骨折を経験していると報告されており、転倒による骨折が「動くのが怖い」という心理的な影響を及ぼし、さらなる活動低下を招くことが問題となります。
高齢になっても「住み慣れた自宅で暮らしたい」と希望する方は多く、在宅生活を続けるためには、転倒予防のための環境整備や生活指導が欠かせません。
パーキンソン病の方に限らず、転倒予防のためには運動療法と並行して生活環境を整えることが推奨されています。その中でも、**自宅でできるエクササイズ(ホームエクササイズ)**が有効で、専門家とともに学びながら継続することが大切です。
この記事では、HY分類Ⅴ(パーキンソン病が進行し、車椅子が主な移動手段となる時期)における生活指導や環境整備について分かりやすく解説します。

HY分類Ⅴとは?
HY分類Ⅴに入ると、運動機能が大きく低下し、基本的な移動手段は車椅子になります。また、日常生活の中で介助が必要な場面が増えるため、介護者の負担も大きくなります。
この時期に大切なのは、「寝たきり」にならないようにすることです。長時間ベッドにいることで、筋力が衰え、関節が固まり、ますます動きづらくなるため、「離床(ベッドから起きること)」の時間を確保することが重要です。
しかし、車椅子へ移乗する際に介助が大変だと、家族だけでの対応が難しくなることもあります。そのため、介助量を減らしながら安全に移乗できる工夫が必要になります。
HY分類Ⅴの生活環境整備と工夫
① 車椅子への移乗をスムーズにする工夫
移乗(ベッド → 車椅子)の際の負担を減らすために、以下のような福祉用具の導入を検討してみましょう。
• トランスファーボード(移乗ボード)
• ベッドから車椅子に移る際に使う板状の補助具。
• 介助者の負担を減らし、患者さん自身も移乗しやすくなる。

• 移動式リフト
• 体格差がある場合や、介助が難しいときに活用できる機器。
• リフトを使うことで、介助者の負担を大きく軽減できる。

② 起立性低血圧に注意しながら安全な離床を
パーキンソン病では、自律神経の働きが低下し、**起立性低血圧(立ち上がると血圧が急激に下がる症状)**が起こることがあります。
このような場合、リクライニング機能付きの車椅子を使用すると、少しずつ角度を変えて起き上がれるため、安全に移動ができます。

③ 外出のための環境整備
車椅子での移動には小さな段差でも大きな障害になります。
そのため、玄関や屋外の環境を整備することが大切です。
• 玄関アプローチにスロープを設置する
• 自宅周辺の歩道の段差や障害物を事前に確認する
こうした工夫をすることで、外出しやすくなり、社会とのつながりを維持することができます。
④ 福祉用具の選定は専門家に相談を
福祉用具は、本人の状態や介護環境に合わせて選ぶことが重要です。
**理学療法士や福祉用具の専門家(業者)**に相談しながら、本人に合ったものを選択しましょう。
おわりに
HY分類Ⅴでは、運動機能の低下により車椅子が主な移動手段となり、介助の負担が増えます。しかし、適切な福祉用具を導入し、生活環境を整えることで、「できること」を増やし、生活の質(QOL)を維持することが可能です。
また、パーキンソン病を含む進行性疾患では、病状の変化を見逃さず、定期的に専門家と相談しながら対応していくことが大切です。
現在、新型コロナウイルスの影響で訪問リハビリの機会が減少していますが、受診時やリハビリの際には、主治医や理学療法士にしっかりと相談し、適切なサポートを受けるようにしましょう。
「住み慣れた自宅で過ごす」ために、できる工夫を積み重ねていきましょう!
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