Bestest/miniBestestについて

Bestest/miniBestestについて

患者様のバランス障害を評価するためには,包括的かつ正確な評価ツールが必要となります.

今回は,Bestest(Balance Evaluation Systems Test)とminiBestestに着目していこうと思います.

BestesとminiBestestは,バランス機能を多面的に評価できる信頼性の高いツールとして広く利用されています.これらの評価方法を理解し,適切に活用することは,患者様のバランス障害を的確に把握し,リハビリの計画を効果的に立てるために非常に重要と考えます.

以下で,BestestとminiBestestの詳細や評価方法,必要性について説明します.

  1. BestestとminiBestestの詳細

Bestest(Balance Evaluation Systems Test)は,バランス機能を構成する6つの異なるシステムに焦点を当てた包括的な評価ツールです.この評価は,運動制御理論の一つであるシステム理論に基づいて開発され,個々のバランス能力を細かく評価できるように設計されています .

Bestestは次の6つのセクションで構成されています.

I. 生体力学的制約

  • 支持基底面
  • 重心の整列
  • 足首の強さと可動域
  • 股関節/体幹の横方向の強さ
  • 床に座って立ち上がる

II. 安定限界

  • 座位での垂直性と横方向への傾き
  • 前方の機能的リーチ
  • 横方向の機能的リーチ

III. 予測的姿勢制御

  • 座位から立位へ
  • つま先立ち
  • 片脚立ち
  • 交互の階段タッチ
  • 立位での腕の挙上

IV. 反応的姿勢制御

  • その場での反応,前方
  • その場での反応,後方
  • 代償ステッピング修正,前方
  • 代償ステッピング修正,後方
  • 代償ステッピング修正,横方向

V. 感覚機能

  • バランスのための感覚統合(固い表面,泡の表面,目を開けた状態,目を閉じた状態での立位)
  • 傾斜 – 目を閉じた状態

VI. 歩行安定性

  • 歩行の安定性
  • 歩行速度の変化
  • 頭の回転を伴う歩行 – 水平方向
  • ピボットターンを伴う歩行
  • 障害物を越える歩行
  • 二重課題を伴うTimed Up and Goテスト

Bestestの評価項目は36に及び,それぞれの項目が0から3点の4段階で評価され,合計108点満点です.

詳細に評価することで,どの部分にバランス機能の問題があるのかを明確に把握でき,1人1人の患者様のバランス問題に合わせて適切な治療プランを立てることに役立ちます.

詳しくはこちらの論文をご覧ください

miniBestestは,Bestestの簡略版であり,より短時間で実施できる評価ツールです.

Bestestの6セクションのうち,バランス評価に最低限必要な4セクション(14項目)を抽出して構成されています.臨床現場にて限られた時間の中で評価が必要な場面に有用な評価です.

miniBestestは,次の項目で構成されています.

予測的姿勢調整

  1. 座位から立位
  2. つま先立ち
  3. 右片足立ち
  4. 左片足立ち

反応的姿勢制御

  1. 前方への補償ステッピング修正
  2. 後方への補償ステッピング修正
  3. 側方への補償ステッピング修正

感覚機能

  1. スタンス(足を揃えた状態),目を開けた状態,固い表面
  2. スタンス(足を揃えた状態),目を閉じた状態,泡状の表面
  3. 傾斜 – 目を閉じた状態

歩行の安定性

  1. 歩行速度の変更
  2. 頭を左右に振りながらの歩行
  3. ピボットターンを伴う歩行
  4. 障害物を超える歩行
  5. 二重課題を伴うTimed Up and Goテスト

総合スコアは28点になります.

評価用紙はこちら

2. 評価方法の概要

BestestとminiBestestは,患者のバランス能力を多面的に評価することが目的です.評価方法の具体例として,以下の項目が含まれます:

予測的姿勢制御:立ち上がりやつま先立ち,片脚立ちなど,バランスを維持するための動作を評価.

反応的姿勢制御:前方,後方,側方へのステップ反応を評価し,予期せぬ姿勢の変化に対する反応能力を測定.

感覚機能:目を開けて固い地面で立つ,目を閉じてフォーム上で立つなど,バランスを取る際の感覚系の働きを評価.

歩行安定性:歩行時の速度変化や障害物を越える能力,頭を動かしながらの歩行など,日常生活に直結するバランス機能を評価 .

3. BestestとminiBestestの必要性

バランス障害を包括的に評価するために不可欠

繰り返しになりますが,バランス障害を持つ患者様における問題の原因はさまざまであり,包括的な評価が求められます.Bestestはバランスに関連する6つのシステムを評価するため,問題の原因を特定しやすく,リハビリテーションのターゲットを明確にするのに役立つと考えます.

さらに,miniBestestはより短時間で評価ができるため,特に時間が限られている現場では,有用です.

治療効果のモニタリングに有効

BestestやminiBestestを定期的に使用することで,リハビリの介入効果をモニタリングすることが可能です.

例えば,リハビリ開始時から3ヶ月毎に評価することで,バランス機能の変化について客観的に測定できます.また,評価結果を基に介入内容や自主運動内容を調整することで,患者様の状況に合わせた柔軟なプラン立案が可能になります.

4. SCD患者様における適用

脊髄小脳失調症(SCD)は,小脳の変性によりバランスや協調運動が低下する進行性の疾患です.SCD患者にとっては,バランス機能の評価がリハビリの基礎となり,特に転倒リスクの管理が重要です.BestestやminiBestestは,SCD患者に特有のバランス障害を評価するために効果的です.

別の記事では,Keyformというものを用いて評価結果を可視化する内容も説明します.

このことで,各患者様のバランス能力に合せ,より詳しい介入プランの立案を手助けすることが出来ると考えます.

まとめ

BestestとminiBestestは,バランス機能を多面的に評価できる優れたツールであり,特にバランス機能障害が生じやすい神経筋疾患のリハビリにおいて重要と考えています.

包括的なバランス評価を行うことで,問題の原因を特定し,適切な介入プランを立てることに役立つと思います.

また疾患に合わせたKeyformの活用によって,さらに明確な介入プランの立案が可能となり,患者様の生活の質向上に貢献できると考えます.